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「相続税申告書の税理士報酬はいくらぐらいですか?」
と聞かれることがよくあります。
非常に難しい質問です。
報酬の額の要素はいろいろありますが、主な要素としてこの2つ。
1.総財産の額
2.実際にかかる作業量
両方、どれぐらいあるかを事前に把握するのは難しいんです。(>_<)
ちょっと一例をあげてみます。
お亡くなりになった方の通帳の履歴を見ていました。
すると、4年前に解約した定期預金がどこにも入金されていません。
とっていただいた残高証明書を見ても、それに該当しそうなものも見当たりません。
税務署の調査はこういう預貯金の動きを必ずチェックします。
見過ごすことができない事案です。
相続人さんも覚えていません。
いろんな可能性が考えられます。
中でも可能性が大きいのは配偶者への資金移動か?
「奥さんの履歴をとってもらえませんか?」とお願いをします。
そして、1~2週間後、銀行から取り寄せた履歴を確認します。
「やっぱり・・・。奥さんのところに同じ日に入金されてますね。」
いわゆる「名義預金」です。
本人の記憶には残っていませんでしたが、記録に残っていました。
しかし、その定期預金、半年後に半分が引き出されています。
「何に使ったか覚えていませんか?」とお聞きします。
覚えていないとのこと。
「覚えていないで済む金額ではないので、ちょっと調べてもらませんか?」
と確認してもらうことにしました。
数週間後、連絡がありました。
同じように時期に、お孫さんへのお祝いで車を買ってあげていた、とのこと。
「買った日と金額を確認できませんか?」とお聞きします。
数日後、ほぼ一致していることが判明します。ビンゴです。
つまり、このように一つの不明点から芋づる式にズルズルと
「名義預金」「名義財産」がどんどん出てくるケースがよくあります。
当初見込んでいた金額から大きく膨らみます。
当初見込んでいた期間より長い期間がかかります。
これが相続税申告の実務です。
相続財産の総額を見積ることは非常に難しいのです。
というより、見積っても、調べているうちに意味をなさなくなってしまう、
そんなケースがよくあるのが相続税申告の実際なのです。
もちろん、それにともなって、税理士が費やす労力も変わります。
そして、税理士報酬はそれら状況によって変わります。
最初から確定した見積が出せないのはこのためです。
どうかこのような事情をご了承いただきたいと思います。
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