スポンサーリンク

利益が出たのにお金が残っていないのはなぜ?

野々市・金沢・白山市を中心に活動している「かわした税理士のブログ」へようこそ!

「利益が出たのにお金が残っていない。どうして?」

と思ったことはないでしょうか?

これは不思議なことではありません。

よくあることです。

では、なぜそのようなことが起こるのでしょう?

Contents

利益は残ったけど、お金が残っていない理由

その理由をズバリ言います。結論です。

「会計上の利益」と「お金の出入り」は一致しないから、です。

専門用語で言うと、損益とキャッシュフローは一致しないのです。

「お金が入ってきたら売上」

「お金が出て行ったら経費」

ではありません。

そこの違いをちゃんと理解しておく必要があります。

倒産する時とは「赤字が続いた時」ではありません。

ちなみに、「黒字倒産」という言葉を聞いたことはありませんか?

文字通り、黒字なのに倒産になったということです。

なぜそんなことになるかというと、利益はあるけどお金がない状況になったからです。

事業が倒産する時は、「赤字が続いた時」ではないんですよね。

「お金が底をついた時」なのです。

お金がなくなったとき、すなわち、

掛けで仕入れた商品の支払ができなくなったとき、

毎月の家賃の支払が滞ったとき、

毎月の借入返済ができなくなったとき、

そのときが倒産になるときです。

黒字か赤字かは関係ありません。

事業は黒字でも倒産することがあるのです。

じゃあ、どんなときが「会計上の利益」と「お金の出入り」は一致しないときか?

次から具体的に説明していきたいと思います。

売上の入金が遅くなっていませんか?

売上ですが、「入金した時が、売上の時」ではないんですね。

売上の時は、もっと早いタイミングです。

商品を渡した時・サービスの提供が完了した時、が売上の時です。

例えば、1月5日に商品を60万円で仕入れました。

その商品を引渡は2月3日でした。(販売価格100万円)

請求書は月末締めなので、3月1日に請求書を発行しました。

お客様からの入金が3月25日にありました。

さあ、どうでしょう。

まず、会計上は商品の引渡し時に売上を計上します。

2月3日に100万円ー60万円=40万円の利益がたつのです。

しかしこの時点では、現金だけで着目するとマイナス60万円ですよね。

「利益」と「お金」の不一致の状態です。

そしてこのマイナス状態は3月25日の入金まで続いています。

3月25日まで解消されないのです。

もし、こんな売上がたくさんあったら?

もし、お客様に「入金を1ヶ月待って」と言われたら?

当然マイナスの状態が大きくなったり、長く続いたりすることになります。

商品の引き渡し・サービスの提供から売上入金までのサイクルは短くすること。

これは資金繰りの観点からはとても重要なことなんです。

借入の返済がありませんか?

事業を行う上で、借入はつきものです。

さて、質問。

借入をして入金があったとき、売上にあげていますか?

あげませんよね。借りただけですから。

では、借入を返済したとき、経費にあげますか?

あげませんよね。返しただけですから。

そう、そこです。

借入の返済は経費にはならないんです。

※利息部分は経費です。経費にならないのは元金部分です。

お金は出ていくけど、経費にならない。

それが借入の返済なのです。

借入の多い事業者はここはキチンと押さえておかなければなりません。

もし、利益が100万円出ても、返済元金が150万円あったら?

黒字ですが、お金は50万円減っているんです。

これが「黒字倒産」の典型的パターンです。

借入返済をしている事業者は、

「返済額+納税資金」以上の利益を出さないとお金が残りません。

黒字だからと単純に喜ぶわけにはいかないのです。

気をつけなければなりません。

生活費はあなたが思うより大きいことがあります。

個人事業主の場合、事業資金から生活費を抜かないといけませんよね。

もちろん、生活費は経費になりません。

当然といえば当然です。

でも「生活費なんてそんなに使ってないよ。」というあなた。

「生活費」の概念をちょっと勉強しなおす必要があるかもしれません。

生活費の代表例は、食費・衣服費・教育費ですよね。

これはそんなに大きくならないでしょう。

しかし、以下のものも「生活費」なんです。ちょっとあげてみますね。

1.国民健康保険

2.国民年金

3.生命保険

4.住宅ローンの返済

5.所得税・市県民税

「あれれ、これって税金の計算のときに引いてるよ」と思った方、

税金の計算はよくご存知ですが、これは経費ではないんです。

税金の計算上、これらは「所得控除」の対象になるものもあります。

しかし「会計上の経費」ではありません。

会計上の利益から支出するものなんですね。

だから、会計上は「利益」とは無関係なのです。

会計上の「利益」は、あくまで事業上の利益なのです。

プライベートとは別物です。

上記1~5は、プライベート扱いになります。

そう考えると結構な金額を支出していると思いませんか?

気がつかないうちに、経費にならない支出を多くしているんです。

そして、それは避けられないものなんですね。

最後に

「会計上の利益」と「お金の出入り」が一致しない理由をお分かりいただけましたか?

上記のものは、全てではありませんが、代表的なものです。

「会計上経費にならないもの」だけど「現金の支出」となるもの。

これがいくらあるかを理解しておく必要があります。

「黒字になった!」と単純に喜ぶのではなく、

「経費にならない現金支出が〇〇円あるから、黒字は××円以上ないといけない!」

という発想に変えていく必要があります。

事業は黒字でも倒産します。

利益だけではなく、キャッシュフローも意識するよう心がけましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

芸術闘争論 (幻冬舎文庫)

新品価格
¥620から
(2023/7/22 09:31時点)