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先月、全国銀行協会が、認知症など判断能力が低下した高齢者の預金を、
家族でも引き出せる業界統一の対応を決めましたね。
認知症の家族がいない方は知らない方が多いと思いますが、
認知症の方の財産管理は本当に大変なんですね。
認知症の家族の預金を引き出すために、銀行や郵便局に行っても
「本人じゃないと引き出せません。」なんて感じで、
家族名義の預金を引き出すことができなかったりしました。
そもそもなぜ認知症の家族の預金を引き出す必要があるかというと、
本人の入院費用だったり、本人の身の回りの物を買いたいだけなんです。
本人は入院をしてるので、当然、銀行にはいけません。
もし仮に、銀行の窓口に連れて行けたとしても、認知症なので、
本人の口からとんでもないセリフが出てくることがあるんです。
「なぜここに連れてこられたか分からない。」とか、
同行した人が子どものお嫁さんだったりすると「この人は誰か分からない」とか。
それを聞いた銀行の対応はご想像のとおりです。
そういう状況に対応するために、公的な制度として「後見人」という制度がありますが、
これがまた大変だったりします。
定期的に裁判所へ資産管理の報告をする必要があったり、
大きな引き出しをするときは裁判所の許可が必要だったり。
何かと面倒くさいことが多いんですね。
なので、実際には、どんな対応している人が多いかと言うと、
認知症の家族のキャッシュカードをなんとか作って、
家族がATMの入出金でやりくりする、という運用が一番便利な運用でした。
そして、今回の全国銀行協会の発表です。
今回の発表による対応が現状ではもっとも現実的な対応でしょう。
銀行も責務を果たすことができて、家族も目的を果たすことができます。
今までの状態が現実に合っていない状態だったということです。
ようやく現実的な運用になるなと思っています。
認知症の家族がいらっしゃる方は、
銀行に相談してみる価値があるのではないでしょうか。