ピアノ教室運営会社の代表社員の川下です。
音楽教室で演奏される曲の著作権について、
最高裁が判断を下しました。
結論だけを言うと、
生徒は著作権料を払う義務なし、
教室は著作権料を払う義務あり。
この結果どうなるかというと、
音楽教室には今までなかった著作権料という費用が発生します。
すると、音楽教室は生徒へのレッスン料の値上げをすることが考えられます。
ここで、誤解をしてはいけないことがあります。
「音楽教室だけが著作権料の負担をかぶる」ということはありえない、
ということです。
著作権料が発生すれば、レッスン料は上がるのです。
ガソリン代が上がれば、運送料が上がるのと同じです。
小麦の価格が上がれば、パンの値段が上がるのと同じです。
「音楽教室だけが著作権料の負担をかぶる」
つまり、音楽教室だけが損をして終わり、
とはならないのです。
で、レッスン料が上がるとどうなるか?
親は子どもに音楽を習わせるのをやめる可能性が出てきます。
子どもが音楽と親しむ場が経済的理由により失われるのです。
不幸な話です。
このことを、作曲家の方々は望んでいるのか?
多くの作曲家は望んでいないんじゃないかと思います。
以上を踏まえて、今回の最高裁の判断について。
これだけは言えるのは、
最高裁の判断基準は「法律はどうなのか」ということ。
「どうあるべきか」ではないということです。
法律が「あるべき姿」でなければ、
裁判所は「あるべからざる姿」の判断をせざるをえない。
それが、裁判所つまり「司法」です。
税法だって同じです。
「こんな税金おかしいだろう」と思っても、
法律で決まっている以上「適法」と判断するのが裁判所です。
裁判所は「あるべき姿」を判断するところではないんです。
あくまで「法律」に照らして判断するところです。
最高裁は法律の最後の判断をするところなので、
この「法律上」の問題はもう変わりません。
音楽教室に著作権料をかけるのは「適法」になりました。
さあ、この問題は次のステージに移るのか、
それとももうこれで確定なのか。
論点はここだと思います。
音楽教室から著作権料を徴収するのは「あるべき姿」なのかどうか?
著作権料がかかる曲を音楽教室は敬遠する可能性があります。
音楽に親しむ場である音楽教室ですが、最近の曲を学ぶ機会が減る可能性も。
そうなると子供たちが最近の曲と親しむ機会が減ることに。
引いては、作曲家がもらう著作権料にも影響が・・・。
それどころか、音楽から遠ざかる子供たちが増えるのでは・・・。
日本の音楽教育、音楽業界にとって大きな問題だと思います。
私達の代表である国会議員の皆さんに判断してもらいたいです。
統一教会の問題も重要かもしれませんが、
音楽の教育の問題も考えてください。
私はこれが子供たちの音楽離れにきっかけにならないよう望みます。
音楽教室だけが損をして終わる問題ではないんです。
日本の音楽教育、音楽業界にとって大きな問題だと思います。
楽曲の著作権は何のためにあるのでしょうか?