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結局、配偶者居住権は使えるのか?(2)

野々市・金沢・白山市を中心に活動している「かわした税理士のブログ」へようこそ!

アツはナツいね~。

昭和のギャグでも言わないと暑くてやってられない今日この頃。

(>_<)

さて、配偶者居住権の長期のほうです。

期限は「原則として死ぬまで」、例外として「期限を定めたら、その定めた期限まで」です。

基本は配偶者が生きている間ずっとです。

「節税になる」と言われていますが、はたして積極的に使うべきなのか?

結論から言うと・・・、まだ分かりません。

使うことによる弊害が予想されますが、その弊害がどの程度起こりうるのか分かりません。

なので、オススメするのにはもうちょっと時間が必要です。

まず「節税」について、整理してみます。

今までの制度では、配偶者が一次相続で自宅を相続すると、

一次相続では配偶者の税額軽減があるので相続税がかからないけど、

二次相続で子どもが相続するときに相続税がかかります。

一次相続で子どもが自宅を相続すると、

一次相続では相続税がかかるけど、

二次相続では相続財産ではないので相続税がかかりません。

今までの制度では、一次相続か二次相続かどちからでかかるというわけです。

では、配偶者居住権を利用するとどうなるか?

まず自宅が「居住権」と「所有権」に分離されます。

一次相続では、「居住権」部分は配偶者の軽減で相続税がかからず、

「所有権」は子どもが相続するので相続税がかかります。

二次相続では、「所有権」は相続財産ではないので相続税がかかりません。

「居住権」部分に相続税が・・・かかりません。

ここがミソです。

配偶者がお亡くなりになった時点で、「居住権」が消滅するので、

二次相続は「所有権」「居住権」ともに相続税がかからないのです。

一次二次トータルで考えると、一次相続の「居住権」しか相続税がかからないのです。

つまり、「居住権」部分が相続税がかからないので、お得という考え方です。

しかし!

ここからが重要な話です。

今までにない制度なので、違う側面にも目を配らなければなりません。

もし、配偶者がお亡くなりになる前に「居住権」の設定を外すことがあったら?

税金が発生するのです!

無償で「居住権」の設定を外したら、子どもに贈与税がかかります。

有償で「居住権」の設定を外したら、親に譲渡所得の所得税がかかります。

となると、配偶者居住権の設定を外す場合はあるのか?ということになりますが、

・・・すいません、勉強不足でそこまで想定できていません。

その他にも配偶者居住権が設定されていることでの制限もあります。

例えば、自宅を売却せざるをえなくなったとき「居住権」だけの譲渡はできないとか。

実務での実績がまだない状況では、思いもよらぬ不足の事態が起こりえます。

どんな事態が起こるかは、まだまだこれからの話です。

そのため、現状では自信をもって

「節税なので配偶者居住権の設定をしましょう!」

ということはまだできません。

節税として使えるかどうかは、もう少し時間が必要です。

かわした税理士事務所のホームページはこちらから。
https://kawashita-tax.com

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