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減価償却費とは?
ざっくり言いますね。
金額の大きいもの(車とか機械とか)は役に立つ期間が長いから、
いっぺんに経費にするんじゃなくて、
何年かに分けて少しずつ経費にしていきましょう、
という制度です。
で、その何年か?というのは、
財務省が省令というもので決めています。
普通車なら6年、軽自動車なら4年、など細かく決まっています。
これを「耐用年数」といいます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
なぜそんな制度があるの?
イギリスの鉄道会社がそのきっかけと言われてます。
減価償却費を導入するまでは、
線路を延長して、路線を拡大した年は大赤字、
それ以外の年は黒字、
といういびつなことになってたんですね。
「それじゃあ長い視点から見たら、
適性な損益を反映してないんじゃない?」
ということで生まれた制度です。
具体的な計算方法は?
会計学上ではいろんな方法がありますが、
税務署に何も届出をしなかった場合、
個人事業者の償却方法は「定額法」と決まっています。
減価償却費=取得価額×償却率
償却率は耐用年数によって決まっています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
減価償却の方法は、たまに法律が変わるので、
償却率の表を見るといろんな償却率が出ています。
ごちゃごちゃしていて分かりにくいですよね。
でも見るべきところはそんなに多いわけではないので、
必要な部分だけを見れば十分です。
大きい金額はいくらから?
いくらの資産から減価償却が必要か?というと、
10万円以上からです。
10万円以上はどう計算するかについては、
青色申告か白色申告かで変わってきます。
青色申告の場合、
10万円未満:一発で経費OK(消耗品費という勘定を使います。)
10万円以上30万円未満:一発で経費OK
(いったん資産計上した上で、全額を減価償却費に計上します。)
https://www.keisan.nta.go.jp/r3yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/shogakugenkashokyaku.html
30万円以上:通常の減価償却費計算
白色申告の場合:
10万円未満:一発で経費OK(消耗品費という勘定を使います。)
10万円以上20万円未満:3年間で経費OK
(いったん資産計上した上で、3等分3年間で減価償却費に計上。)
https://www.keisan.nta.go.jp/r3yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/ikkatsushokyaku.html
20万円以上:通常の減価償却費計算。
大雑把なくくりでいうとこんな感じでしょうか。
キャッシュフローという観点からは?
減価償却費を語るとき、キャッシュフローという観点を忘れてはいけません。
減価償却費は、損益と現金の流れが一致しない項目になります。
投資した年(1年目)は、お金は出ていったけど経費にならない。
2年目以降は、経費になるけどお金は出ていってない。
となるわけです。
これが、他の経費と違うイレギュラーなところです。
損益=お金の増加
ではないのです。
資金繰りを考える必要があるときは、
損益だけを見て考えると間違いを犯してしまいます。
この点を踏まえて微調整を加える必要があります。
注意が必要なところです。
まとめ
お金の支出=経費
という図式が成り立ちやすい個人事業者の経理ですが、
そうはならない特別な扱いです。
これが減価償却費の大きな特徴です。
さらに、経営管理という面でも
大きなお金が動くことになりますので、事前の検討も必要です。
投資で資金繰りはどうなるのか?
損益の見込みはどう変わってくるのか?
いろんな検討が必要です。
「減価償却費」の理解なくして、経営は成り立ちません。
しっかり覚えましょう。