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インボイス制度シリーズ(3)もうちょっと消費税の仕組みについて

野々市・金沢・白山市を中心に活動している「かわした税理士のブログ」へようこそ!

なかなか「インボイス制度の影響」に入れません。

申し訳ありませんが、これはしょうがないんです。

消費税の仕組みを理解しないと、「インボイス制度の影響」を理解できないんです。

もう少しお付き合いください。

Contents

消費税の計算方法は大きく分けて2種類ある。

消費税の計算方法は大きく分けると、2種類あります。

「原則課税」と「簡易課税」です。

専門用語が2つ出ました。

くじけないで、ついてきてください。(^-^;

計算方法の違いと、対象者の違い、

ここを押さえておく必要があります。

それぞれ説明します。

「原則課税」とは?

「原則課税」とは、インボイス制度シリーズ(1)で説明した方法です。

事業者Aさんが、44万円で仕入れたものを、110万円で売ったとします。

44万円で仕入れたとき、そのうち4万円は消費税ですね。

110万円で売ったとき、そのうち10万円は消費税ですね。

つまり、支払った消費税4万円、預かった消費税10万円。

手元に残った預り消費税は6万円。(10万円ー4万円=6万円)

この6万円は、Aさんが消費者から預かったものです。

Aさんは消費者から預かった6万円を、消費者に代わって国に納めます

これが「原則課税」です。

もう1つ「簡易課税」がありますが、

2年前の年間売上が5000万円を超える事業者は、

「原則課税」でしか計算できません。

つまり、世の中のそれなりに大きい会社はすべて、

「原則課税」という方法で消費税の納税額を計算しています。

ここ、大事なところです。

世の中のそれなりに大きい会社はすべて、

「原則課税」という方法で消費税の納税額を計算しています。

大事なところなので、2回言いました。

「簡易課税」とは?

「原則課税」は、「預かった消費税」から「支払った消費税」を引いて計算しました。

「簡易課税」はどう計算するのかというと、

「預かった消費税」の計算は同じです。

上記の例でいくと、110万円のうちの10万円。

これは変わりません。

違うのは「支払った消費税」です。

いくら払ったかを集計しません!

変な話ですよね。

でも、「預かった消費税」をそのまま納税したら、大損ですよね。

ちゃんと「預かった消費税」から引く金額があります。

「預かった消費税」から引く金額は、

「『預かった消費税』×業種ごとに決められた一定率」です。

第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る)) 80%
第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業) 70%
第4種事業(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業) 60%
第5種事業(運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く)) 50%
第6種事業(不動産業) 40%

事業者Aさんが、小売業だとします。

すると、上記の表でいくと、率は80%です。

「預かった消費税」10万円

「『預かった消費税』×一定率」10万円×80%=8万円

10万円ー8万円=2万円

Aさんが納める消費税は2万円になります。

こんな計算方法です。

この方法は、2年前の売上高が5000万円以下の事業者が「選択」できます。

「選択できる」なので、「原則課税」でもOKです。

どちらを選んでもOKです。

ただし、事前に選択しないといけません。

決算が終わってから、少ない方を選択するということはできません。

事前に試算をしてみて、イチかバチかで選ぶしかない、

というのが実務の現状です。

「原則課税」と「簡易課税」の差額2万円はどうなる?

ここで、ちょっと疑問が湧きますよね。

Aさんの手元に残った消費税は6万円なのに、

Aさんが2万円しか納税しなかったら、残り4万円はどうなるの?

って思いますよね。

これは、Aさんのものになります。

2年前の売上高が1000万円以下だった事業者で起こっている問題と同じです。

消費者が払った消費税が国に届かない、ということが起こっています。

「益税問題」と言われています。

また、繰り返し言いますが、

Aさんは悪くないんです。

問題は「人」ではなく「制度」なんです。

どうかご理解ください。

インボイス制度は「原則課税」を前提に考える。

以上、2つの計算方法があるということを踏まえた上で、

「インボイス制度の影響」を考えていくことになります。

まず、「インボイス制度の影響」は、「原則課税」が前提にあります。

「簡易課税」は一度、おいておきましょう。

せっかく覚えましたが、「簡易課税」はおいておきましょう。

後々には「簡易課税」も大切な存在にはなってきます。

でも、一旦おいておきましょう。

頭の中には残しておいてくださいね。

以上をふまえて、「インボイス制度の影響」を考えるときに、

出てくる登場人物は以下の事業者です。

それなりの大きな事業者(「原則課税」で消費税を計算している事業者)。

消費税を納めていない事業者(年間売上が1000万円以下の事業者)。

この両者の間で起こる問題なんですね。

いよいよ、「インボイス制度の影響」は次回以降、説明いたします。

お楽しみに。

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